たからもの

夏祭り

部活も終わり、いよいよ本格的に受験生になりつつあってきた。

私は暇だったので勉強でもやろうと机にノートと参考書を広げた。

その時、携帯が鳴った。"着信 上村幸"

ピッ…

「もしもーし?」

「秋花。あたしやけど、今暇?」

「暇~!!てか、暇すぎて勉強しようとしてたしっ!!」

「遊ぼう?秋花んとこ行くから!!」

「わかったあ。待ってるね。」

ピッ…

私は急いで机の上に広げた勉強道具を片付けた。

しばらくして、幸がやってきた。

部屋に入り、ベッドでくつろぐ幸。

「どうしたあ?」

私はおもむろに声をかけた。

「…認めないから。」

「え…?」

私は幸の言葉に思わず聞き返す。

「東西とのこと!!何で?秋花が好きなのは藤沢でしょ?なのに、どうして東西と付き合うの?」

(幸ちゃんにはわかっていたんだね…。)

「うん。私は今も千がすき。だけどね?東西は大切だから…フッて気まずくなるのが嫌だったの…。」

「ばっかじゃないの?!東西、真剣なんだよ?真剣にこたえてあげなきゃいけないじゃん!!後がどうなろうと、同情で付き合ってるなんて知ったら、東西も傷つくけど、秋花はもっと傷つくんだよ?!」
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