煌めきの瞬間
わたしと美鈴は、一目散に走り出した。
どうしよう
どうしよう
美穂ちゃんが追ってくる~。
「待ちなさいよ!」
後ろから聞こえてくる美穂ちゃんの声に振りかえる事なんて出来ない。
たぶん、物凄い怒ってるだろうから。
あ~~、誰か助けて。
無我夢中で逃げ続け、階段を駆け上ると体力の限界を感じた。
「はぁっ、はぁ‥美鈴‥わたし、もう無理」
「あの子‥‥どこまでしつこいのよぉ~」
ヨタヨタと壁にぶつかりながら、なんとか足を動かす。
今にも崩れ落ちそうなわたし達が甘い香りに包まれたのは、突然のことだった。