きらい。だから好き。
帰ってくるなり、クラスの隅で「はあー」と長い溜息をついてしまった。

そのため息に誘われるように寄ってきたのは、親友の『藤間ミキ』。


「カナエ! お疲れさま! 体育館の方はもういいの?」

「えー? いいよーあんなの。大事なのはどうせバンドくらいでしょ!」

「もー。文化祭明日だよ? しかも『バンドくらい』って言うけど、毎年人気の企画じゃん。
あたし、ハルくんのバンド楽しみだなあ。ボーカルなんでしょ?」


なんて言って、ミキは顔を赤らめて笑っていた。


『顔に好きって書いてる』って言葉、よく聞くけど


まさにミキはそれだった。

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