時雨の夜に
(──そっか……! そうなんだ……!! シグレがずっとここにいる限り、雨が降るんだ!!
それが、同じ場所に留まれない理由──……!!)





自分の部屋のドアを閉めると、急き立つ心のままに電話をかけた。

もちろん、相手は一人しかいない。


受話器の向こうでプツリと音がした瞬間に、ぎゅっとケータイを耳に押しあてた。


「シグレさん……あの、私──」

『──ごめんね』


私より先に、そう言われた。

それがきっかけで、私はやっと言葉を運び出す。


「どうしてシグレさんが謝るの? いっつも謝ってばっかりじゃない」

『いつも悪いと思ってるからだよ。急に現れて、付き合おうとか言って、遅刻ばっかして、雨ばっか降らして──』

「そんなこと、全然気にしてない! 謝らなきゃいけないのは、私の方なのに……」

『え……?』

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