時雨の夜に
父がチャンネルを回すと、ちょうど天気予報が始まるところだった。


「次は、あすの天気です。このところ降り続いていた雨も終わり、明日からは晴れの日が続く模様──」



そうテレビで言った傍から、ポツポツと屋根を打つ雨音。


それは徐々に激しさを増していく。



「嫌ねぇ。最近の天気予報ったら、外れてばかりだもの。これじゃあ明日も雨かしらね」


母の嘆きに、父も弟も賛同した。


──そっか……。
天気予報通りだったら、今週も晴れだったんだ──……


そう考えたら、不意にシグレの顔が思い浮かんだ。




『俺はずっと同じ場所にはいられない──』




──どうしてなんだろう──?



「この雨、いつまで続くのかしらねぇ?」



その瞬間、私は箸をテーブルに叩きつけて席を立った。


「マナミ、どうしたの?」


母の声にも答えず、階段を駆け上がる。



< 35 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop