不思議病-フシギビョウ-は死に至る


エイヤは頭だけを動かす。

キョウスケは……一切の感情を押し殺した表情。

それを無表情と言う。

だが、そこには確かに感情がある。

ただ、オレにはキョウスケが何を言いたいのかわからなかった。

『『俺はお前を守る』?笑わせないでくれたまえ』……キョウスケが言ったことだ。

エイヤはサヤを守ったんじゃないのか?

どうして。

――もしかしたらキョウスケはエイヤのことを試しているのかもしれない。

もしキョウスケがあの男たちだったとき、エイヤが本当にサヤのことを守れるかどうか。

オレの考えは、

「……俺がサヤのことを守れるって、証明してやる……!」

エイヤも同じようだった。

エイヤは体を起こし、身構える。

拳を構え、キョウスケに突進する。

「エイヤ、やめて!」

サヤが反射的に叫んでも遅いし、意味がない。

よくわからないが、キョウスケはエイヤのために拳を振ろうとしているのだから。

「うらあっ!!」

エイヤはキョウスケの顔面に向かって、右の拳を突き出した。

当たる!

……しかし、キョウスケは簡単に右に避けた。

それからエイヤは体をひねり、左拳を右に振る。

連撃。

だが、

「それでは遅い……!遅すぎる!」

キョウスケの拳は、エイヤの顎を打ち抜いていた。


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