不思議病-フシギビョウ-は死に至る


目標を達成したいと思うなら他人に発表することだ。

そうすることで自分が意識し、その目標に近づくことができる。

――願いは知らんがな。



「では出来た者から発表したまえ」

とりあえず、オレが挙手する。



「明日天気になりますように!!」



「誰も手を挙げないのかね」

ダメだ。完全にスルーされた。

「はい!一番サヤ、行きます!」

サヤがオレのことをスルーする。



「無病息災!」



「うっわ」

思わず声を上げてしまう。

「何さ、そこ!」

「いや、無難すぎて」

あまりに普通だ。



「はい」

今度はカナコ。



「学業祈願」



キョウスケとカナコ、受験大丈夫だろうか。

「というか、誰も『なりますように』って書かないんだな」

「俺の番だ」

エイヤ。



「庭の木にお金がなりますように」



「『なりますように』の用法が違う!あとなんだよその願いは!」



「次はワタシだ」

キョウスケ。



「どうにかなりますように」



「どうにもならねえよそれは!」

なにをどうしたいんだよ、キョウスケは。



「最後はリン君だ」

はい、とリンはすっとその場に立ち上がった。

そして、言う。



「みんなの願いが叶いますように」



「キレイにまとめやがった……!」

なんというか、とてもリンらしい。





「だけど、六枚だけじゃ物足りないね」

言いながらカナコが厚紙を取り出していた。

そんなに飾ってどうするよ。

まあいい。

「今度はもっと面白いこと書く」

「誰が大喜利大会をやろうと言ったのかね」



七夕は次の木曜日だ。


< 223 / 248 >

この作品をシェア

pagetop