不思議病-フシギビョウ-は死に至る


できないって……。

「じゃあどうするんだよ、リン」

「……このまま帰ります」

真面目なリンが部活をサボるとは……めずらしいことがあるもんだ。

まあいいか。

「じゃ、オレは部活に……」
「待ってください!」

リンがオレの制服の袖をつかむ。

「さいごまで……一緒にいてください……!」

……どうしたんだよ。

「一緒に帰りましょう……」

……。

冗談で言っていないのは、その真剣な顔でわかった。

どうして走ったのか、どうして一緒に帰らなくちゃいけないのか、わからないことばかり。

それでもオレは、

「……それじゃあ、サボっちまうか!」

笑ってみせた。





リンと傘を並べて歩く。

バスに乗り込むまで、二人は何もしゃべらなかった。

オレは待っていた。

リンから話してくれるのを。



「……あの」

しばらくして、いつもどおり後ろの席に座ったリンが口を切った。

「明日、暇ですか?」

明日は土曜日、学校は休みだ。

「明日は寝てるぜ」

「それじゃあどこかに遊びに行きませんか?」

リンはそう提案した。

リンらしくもなく。

でも、リンがオレを誘うなんてめずらしい……初めてだ。

「ああ、いいぜ」

二つ返事でOKする。


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