不思議病-フシギビョウ-は死に至る


「職員室くるりんデスクが保管場所だから金はかからない」

そりゃそうだろう。
そんなに在庫を抱えているような部活ならお断りだ。





「そんなの……お琴割り、だッ!!」





「キョウスケさんやカナコさんはどれを書いているんですか?」

リンが部誌を覗き込みながらスルーする。

オレの振り下ろした右手をどうしてくれる。

「どうしたのだ。変な格好して」

「なかったことにされてる!?」

「……で、どれを書いてるんですか?」

リンは質問を繰り返す。

そんなの別に聞かなくてもわかるだろ、

「……って、あれ」

名前くらいどこかに書いてあるだろうと部誌を開いてみれば、確かに書いてあった。

あったが……。

「彩音色……?」

詩のタイトルの下には姓と名どちらとも取れない文字が書かれていた。

これは……。

「ペンネーム?」

「その通りだ!!」

勢いよく答えなくてもいいのにな。

「文芸作品はすべてペンネームで出している。……ちなみにワタシは『総統』だ」

「ぶっ……」

自分のこと『総統』って。

「失礼ですよナオキさん」

リンがオレに注意する。

けれど、

「あーうん。あたしも総統はないと思う」

「俺も」

あとの二人も顔が笑っているぞ。


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