不思議病-フシギビョウ-は死に至る


「なに、ワタシも最初は笑ったよ。去年の部長に付けてもらった名でね」

部長につけてもらったって……。

「適当だな……」

「適当で構わないさ。カナコ君なんか『赤』だよ」

「適当じゃないよ。ちゃんと意味があるよ」

意味……か。

「どんな意味があるんですかぁ?せんぱーい」

サヤは面白半分だ。

「赤。……様々な色の中でも目立つ色。鮮やかで人に強い印象を与える。……いい名前だと思うよ?」

「出力が三倍になりそうだな」

エイヤ、たまにしゃべって何の話だ。

「赤は宇宙空間で一番視認しにくいらしいですよ」

リン、そっちも。

「うわぁ、みんながいじめてくるよ」

「ははは、カナコ君も元部長からもらった名前だからね」

どうやらその元部長とやらは命名癖があるらしい。

「ってか、自分で考えてないのかよ」

「なんならワタシもキミたちにいい名前をあげようか?」

そんなのお断りだ。





「お琴割り、だッ!!」





「ナオキ!!キミのペンネームはだね……」

「うわッ!?このフレーズ無視される……!?」



一瞬。



「ペンネームは、『不惑』だ!いい名前だろう!!」

「いい名前かどうかわかんねえ!!」

「……確か四十歳のことでしたね」

なんでそれか意味がわからねえよ。


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