たべちゃいたいほど、恋してる。
気付いたときには、龍之介は椅子から立ち上がり優衣の前にある机へ乗り上げていて。
そのまま優衣の腕を引き離れた僅かな距離を縮める。
「怒ってねぇから落ち着けよ、な?大丈夫だから」
(まぁ、井上には若干頭にきてるけどよ)
その言葉は己の心の中だけに止めることにした。
言葉にしてしまえば、その感情が態度に表れてしまうことを龍之介は知っている。
それが優衣を更に泣かせてしまう可能性があることも。
吐き出してしまいそうになった言葉を飲み込み、その長い足を優衣の座っている椅子に絡める龍之介。
これでもう二人の間にあった距離は殆どない。
龍之介は一度肺の奧から深く息を吐く。