たべちゃいたいほど、恋してる。




同時に優衣の右腕は龍之介の左手によって強く掴まれて。

そのまま龍之介は無言で教室を出ていった。


優衣は状況がまったく理解出来ないまま、引っ張られるようにして龍之介の後ろを着いていく。


ただ、強く掴まれているはずの手に痛みを感じることだけはなかった。




「あ、あのっ…龍くん…?」


「………」




足のコンパスが違うためか小走りになりながらも、勇気を振り絞って不機嫌オーラを醸し出している龍之介の背中に声をかける優衣。


しかし龍之介からの返事はない。


何を言うことも、優衣を振り向くこともなく、ずんずんと前に進んでいくだけ。


そんな状況にだんだんと優衣の中に募っていく不安。




(…うぅ…また、怒らせちゃった…?)




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