たべちゃいたいほど、恋してる。
嫌だよぉー…と今にも泣きそうになるのを必死に堪えながら大人しく手を引かれて歩いていく。
すると突然一気に開けた視界。
降り注いだのは辺りを照らす太陽の光で。
その眩しさに優衣は思わずぎゅっと両目を瞑った。
だんだんと光りに目が慣れてきた頃、漸く開けることが出来た目に飛び込んできたのは見慣れた屋上の景色と太陽を背負う龍之介の姿。
しかし逆光になってその表情は見えない。
バタンという鈍い音と共に閉まった重い屋上の扉は優衣達を外の世界から切り離す。
そんななか、お互い言葉を発しないまま静かに向き合うようにして立つ二人。
遠くの方で授業の開始を知らせる音が鳴り響いた。