射しこむ光りはかわらない

流れ星

『優しさと優しさがかさなって 本物がわからない
一緒にいるのにせつないんだから
流れ星 願いをきいてくれる
流れ星 独り言だから
手を伸ばさなきゃわからなかった 届かない事も ふれられない事も
流れ星 願いをきいてくれる
流れ星 君の事を教えて』

三田 マサキはまだ途中のキョンの詩を自分のリズムに合わせて口ずさむ。
キョンはマサキがギターを担当しているバンドButterflyのボーカル国分恭子。
言いはじめは誰なのか出会った時からそう呼ばれていた、マサキも自然に彼女をそう呼ぶようになっていた。
「ねぇ、キョンなんでココ流れ星なの?」
 マサキがキョンに尋ねる。

打ち合わせの名目でたまにメンバーで飲みに行く。
その時に次のライブの予定なり手伝いの新顔のスタッフの紹介なりとそれぞれ細かい連絡をしあう。
今回はデビューの話しがどうとか何とか初めに話していたが、良くある話しで大概は流れる、真面目な顔して何人かが話していたがマサキもキョンも話し半分だった。
それ以外は週に一、二回のスタジオの練習の後個々に話しを通す形になっている。
マサキとキョン、リーダーのドラム、ベース、もうひとりのギターその五人で一応『Butterfly』のメンバーになる。
リーダーとベースは付き合いは長いみたいで、『Butterfly』の創立者。
それで初期メンバーのギターが抜け知り合いの知り合いの紹介でマサキが入り、マサキが曲作りを初めた頃もう一人のギターを加えた。
ボーカルのキョンが加わる頃には詩も曲もだいたいがマサキが作るようになっていた。
キョンはもともと一人で路上で歌っていて、その噂を耳にしていたマサキは、自分で確かめにいってスカウトしてきた。
実際見てみて、人ダカリの中にいるキョンは、人をひきつける魅力もあり、声も好みだった。
それに彼女が歌う詩はマサキの描くものより胸に響いた。
何度も足を運んで強引にメンバーにしてしまった。
キョンの方はバンドの束縛を嫌がった。
 メンバーになっても、一人で路上で歌う事の自由は求めた。
勿論それはOK。
キョンがメンバーに加わり今になる。





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