射しこむ光りはかわらない

キョン。

胸の中で呟く、いきなり過ぎて今更実感がわいてくる。

初めて見た時から奪われた気持ち。

彼女の歌う姿。

体中の細胞に共鳴する歌声。

思いだせばそれだけ、イロの気持ちは高ぶっていき、幸せになる。

ついさっきまで手の届く距離で二人は声を交わしていたのだから。



『ありがとう』


誰にでもなく
目を閉じて
イロは
心のなかで
お礼を言った。





< 9 / 15 >

この作品をシェア

pagetop