射しこむ光りはかわらない

今更

キョンの書く詩が好き。
自分の創る曲は彼女の詩によって、
命を与えられる。

自己満足。
そうかもしれない。

彼女の歌声が好き。

人を引き付ける。
魅了された。
甘く
懐かしい
聞き入る事が自然に感じる。

声は詩を響かせる。


悲しみは幼い不安を波うたせ。
切なさは何処かに忘れた気持ちを呼び起こす。

声によって言葉はよけいな考えを削ぎ落とし、素直に心に入っていく。



三田マサキは立川イロとキョンの姿を受付部屋のおくから眺めていた。

キョンに頼まれて一緒については来た。

「なんかあったらすぐにいくからって、なんも ないけど。」
そうキョンに言ったマサキは、イロの方からでは覗き込まなきゃ見えない所で見守る事にした。

マサキはキョンのテンションが気にいらなかった

鉄さんからイロが来た事の報告をうけ、マサキを呼びに来たキョンは足長おじさんに出会える主人公みたく目を輝かしていた。
それが興味から来るものだとしても、
面白くなかった。

だから意地悪をした。
一緒について行かない事で諦めて、そのカメラを渡す役を自分に押し付ければいいと。

「わかった、ちゃんと見ててよストーカーなら、いきなり襲ってくるかもしんないから。」

そう言うとキョンは一人で向かっていった。
目の輝きはそのままに。

二人のやり取りを眺めるマサキは何度もキョンの所に行こうとする自分の体をそこに留めていた。


嫉妬しているはずの自分を認めたくなかった。


途中キョンの声があらがう。

立ち上がるマサキは二人がカメラを奪い合う様子を目にそれ以上前に進むのを止めた。


なんで。

わからない。

二人の姿は
マサキとキョンが知り合うより前から

二人はしっている・・・。

マサキだけが他人の疎外感を感じる。

そんなはずはなくても。


足はまた元いた場所に戻り。

そこでマサキは二人の世界を感じないよう

何も考えずに
時間が過ぎるのをまった。



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