きっとそれを      平凡と呼ぶのだろう
仕事
 高校を卒業した後は、家事手伝いをすることになっていた。
 正職員にならず、フリーターで生活をする。

 実家暮らしは変わらない。
 負担するお金もほぼ無い。
 きっと財布に暖かい生活が出来ると思っていた。

 地元にある饅頭屋の売り子を始めたのが19歳の頃。
 饅頭屋と言っても、商品が届いて、それを売るだけ。
 包装とレジ打ちを覚えれば大丈夫。
 しかし、世の中そんなに甘くない。

 どこにでも居そうな、お局様的な女性。
 60歳はもうすぐなのではと思うほどの外見。
 厚化粧で、美人をアピールしている。

 18や19の女なんてただの小娘に過ぎないのだろう。
 時たま小さな罵声を聞いた。

 年中無休のため、シフト制で休みが決まる。
 お局様が休みの日は、違う女性が来た。
 穏やかな人。
 愚痴も聞いてもらいたくなるものだ。

 しばらくすると、
 『あんた、あたしのこと話したでしょ!』
 と文句を言われた。

 もちろん良いことは言った記憶がない。
 苛立つのも無理はないだろう。
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