私、不良です
「よく来るんだ」
私がここに来るようになった時は
あんたの顔なんて一回も見た事ないけど。
彼は上にある空を見つめる。
「ここは俺の憩いの場だ」
やっぱり。
ここは不良にとって
安らぎの場所なんだ。
喧嘩をした後に訪れる場所。
「ごめんね。
私がお邪魔して。」
不法侵入者は私だ。
だけどここを出るつもりはない。
「大丈夫だ。」
彼は断言した。
「お前が不良なら」
そう、他人に言われると
ドキッとする。
認めてもらえたんだって言う
嬉しさとプレッシャー。
ちゃんと肌で受け止める。
温かい風を感じ
私は所定の位置で
本を読み始める。
屋上の住民が
一人増えるだけで
寂しさは消え
安心を感じる。