私、不良です
軽くなった財布を持って
バスを揺れる。
ブザーを鳴らし、金を払って
外に出るとすぐ目の前は目的地である
大きなマンションだ。
私は横にある小さなドアから侵入し
エレベーターで最上階まで上がる。
―ここは私の実家だ。
エレベーターから降り
ポケットから合鍵を出して
ドアを開けた。
カーテンの隙間から差す光は
辺りの神妙さを出す。
私はすぐに自分の部屋に行き
引き出しに入っている封筒をカバンの中に入れた。
一ヶ月のおこづかい。
リビングにカバンを置いて
風呂場に行きシャワーを浴びた。
久しぶりのシャワーで生き返った気分だ。
浴び終わり、服を着替えて、
タオルで髪の毛を拭いていると
ドアが閉まる音が聞こえた。
「帰ってたんだ」
弟ハルは制服姿で帰ってきた。
「早かったね」
私は気に止めず
リビングのソファに座る。
弟のハルは有名な私立高校で
さぞかし将来有望だろう。
その姉が出来損いとは
ずいぶんな設定だ。