私、不良です
不良の道も意外と険しかった。
逃げ道として扱ってたけど
それは彼らにとって失礼に値するかも。
―だったらここにも
私の居場所がなくなる。
「オリ先輩はなぜ
不良になったのですか?」
人に聞かれるのは初めてだった。
あれほど念じていたのに
口に出そうとすると出てこない。
「私は…」
ぽつんと出てきた言葉。
「屋上が好きだから」
あれ?本当にそうだっけ?
本当にそんな理由?
自らわざと埋めた答えを
掘り返したくなる。
その手を止めるのも私。
「なんだか考え方が
とってもキレイですね」
理由はそれ以前にもあるが
褒め言葉は素直に受け取れない。
裏を返してしまう。
「ありがと」と礼儀のように返すと
遠くから足音が聞こえた。
私はとっさに隠れたが
アリスは動じず警戒するように
じっと前を見ていた。