約束


「健介・・。」


名前を呼んでも健介は振り向かない。

そっと前に回ると涙でグシャグシャの顔があった。


「なんで・・死んじまったんだよ・・。」


健介はそう言ってまた涙を流した。


「奈々も泣いてるぞ。悪い冗談はよせよ。」


健介は俺がいる場所に向かって手を伸ばす。

その手は俺をすり抜けて写真へと向けられていた。


冗談だったら・・どんなによかったことか。

冗談じゃねぇんだよ。

俺は死んじまったんだよ。

俺は、もうこの世の生き物じゃねぇんだよ。



「奈々は?」


俺はふと気が付いた。

奈々をまだ見ていない。


「奈々!」


俺は奈々のもとに掛け寄った。



「奈々!俺だよ!見て!ここにいるんだ!」


俺は必死に訴えた。

奈々なら気づいてくれるかもしれない。


「奈々!奈々!」


奈々は下を向いて泣きつづけていた。


背筋が凍った。



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