六天楼(りくてんろう)の宝珠
「私に、触れないと決めているみたいだわ……」

 戴剋様と約束でも交わしていたのだろうか──そう思えるほど、碩有の態度は理解しがたいものだった。

 石は冷たいのに、彼女の身体の熱は鎮まらない。

 翠玉は己を醒ましてくれるものを求めて、侍女を呼ぶ声を上げた。
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