六天楼(りくてんろう)の宝珠
「情報が漏れたというのか」

「何れからそうなったのかは推測の域を出ませんが……申し訳ございません」

 跪(ひざまず)いて許しを請う園氏を、碩有は制した。

「お前のせいではなかろう。むしろ扶慶がそう暗愚ではないことの証だ。方向が誤っているのが何とも残念だが──また別の方法を考えれば良い」

「……は! 寛容なお言葉、身に染み入りましてございます」

 感極まって結局ひれ伏した部下に、特に表情も変えずに朗世は問いかけた。

「それで園氏、扶慶殿は我らが到着しているのに気づいているのか?」

「いえ、それはまだですが……工員達の服装を着替えさせております。建物内も、昨日からいきなり清掃をし出しまして」

 受け取った鍵で気缶室の扉を開け、碩有は中に入った。室内を歩きながら吐き捨てる。

「悪あがきを。せめて体裁を整えるつもりか──朗世」

 彼は換気装置の計器を指差した。

「はい」

「報告書を見せてくれ」

 朗世が鞄から取り出した書類を受け取ると、見る見る顔が険しくなった。

「機械のこの目盛を見てくれ。現在の稼動出力が数値でわかる様になっている。一月の工場内装置の稼動数値一覧の総数値を操業日数で割っても、この数値にはならないぞ」
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