今宵…甘ったるい幸福の中で
雛は立ち上がり喫茶店を出てフラフラと歩いていた。

あたしなんかにはもったいないよ…

プップッ~

車のクラクションが鳴る。

振り返ると…

「お前何してんだよ」

洋介だった。

雛は思い切り走り出した。

「ちょっ待てよ」

洋介は車から降りて追いかけてきた。

そしてあっという間に追いつき雛の腕を掴む。


「電話出ねぇし、しまいには電源切りやがって俺、なんかした」


雛は俯いて首を大きく振る。
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