九十九怪怪
そう実は私、椎名(しいな)飯綱は半妖だ。
管狐(かんこ)という妖怪の父と人間の母を持つ半妖。でも半妖だけど、ちゃんと管狐に変化することも出来る。よく、半妖は禁忌だとかそういう物語があったりするけれど、そんなことは実際にはない。ただ、力が妖怪に比べて弱く、妖怪からは蔑まされるだけの話。


私は、訳あって昼間は人間の高校に、夜は妖怪学校に通っている。
半分妖怪の血が流れているせいか、全く寝なくても大丈夫だ。此処が終わったら、ほぼ寝ずに高校へ登校するのが日課だ。


でも、妖怪学校なんかに入ったら半妖ってだけで嫌われるって思っていたけど、もちろん一目連は文句なしに優しいし、骨女は姉さんみたいに世話を焼いてくれる。百々目鬼は、兄さんみたいに手を引いてくれる。そして、物騒な姑獲鳥や縊鬼だけど、ちゃんと私を殺さずにいてくれて、良いライバルみたいな感じだ。
他のみんなもけして私を蔑まない。


受け入れてくれた。


私に居場所をくれたみんなが私は大好きだ。
だからこそ、妖怪大戦争みたいになるのは嫌なんだけど、半妖の私に何ができるのか、わからない。多分、出来ることなんて微々たることだ。




ギギギィ…。



私が、思考の波に飲み込まれていると、不意に、むしろもう引き戸とも言い難い戸が開いた。

授業が始まるのだ。
一限目は、人間行動学。雪女が授業を行う。



さてまずは、



「雪女先生!!授業を始める前に姑獲鳥をどうにかしてください!!後ろで人間食べたい連呼してますから!!」







と私は大声で叫ぶ。一目連は苦笑い。縊鬼は耳を塞いで、小声で馬鹿じゃないのと呟く。私はそれを睨む。




実は、こんなのが日常茶飯事だったりするのだけれど。
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