月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
話の内容が内容なだけに、達郎兄ちゃんは声のトーンを落としている。

あたしたちは自然とその雰囲気に引き込まれた。

「その後も脅迫状は送られ続けた。まったく同じ内容の脅迫状がな」

「同じ内容って…」

「文章がまったく同じなんだ。周囲は同一人物が送ったとみている」

「それは確かに不気味ですね」

湯月くんが相づちを打ったところで、注文した飲み物が運ばれてきた。

しかしそれに手をつけたのは達郎兄ちゃんだけだった。

あたしはイチゴオレに口をつけなかったし、湯月くんもミルクティーを取ろうとはしなかった。

「で、その脅迫状対策でボディーガードをつけようと?」

あたしは身を乗り出して言った。

「理由はそれだけじゃない」

達郎兄ちゃんはカップを置いた。

「藤本翼がブレイクするきっかけになった清涼飲料のCM。あれの第2弾をいま撮影しているんだが、その撮影現場で不可解な事故が多発しているそうだ」

「事故?」

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