月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
それはまるで、藤本翼を狙っているかのようだという。

「事務所側はなんとか手を打ちたいんだが、世間はGW。人手は足りない。かといって公表すればマスコミのいい餌食。まさに八方ふさがりってわけだ」

「あの、それでどうして僕たちが?」

ないがしろにされていた最初の疑問を、湯月くんが持ち出してくれた。

湯月くん、ナイス…と思ったら。

「今からそれを説明しようとしたんだが」

「すみません…」

湯月くんは塩をかけられたナメクジのように縮んでしまった。

うーん、気は優しいイイ人なんだけどなー。

「困り果てた藤本翼の事務所の社長は、学生時代の友人に相談した。その友人ってのが…」

「ストップ」

あたしは右手を突き出した。

「それが伯父様ってワケ?」

世間は狭い。

あたしが通っていた中学校の校長は、伯父様の知り合いだった。

今回もそのパターンか。

「いや、兄さんだ」

「そっちか~」

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