月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
「秀昭らしい…」

「好奇心で首を突っ込む気はありません。心当たりがあればお聞かせ願えますか」

あたしは達郎兄ちゃんと杉田さんのやり取りを、呆気にとられながら聞いていた。

達郎兄ちゃんて、まともな事も言えるんだ。

ひどい言い様かもしれないが、普段が普段なんだから仕方ない。

杉田さんは翼さんの顔を見た。

「それで今回の件が解決するなら構いません」

翼さんは口もとを引き締めた。

「社長や事務所の方に、これ以上ご迷惑をかけたくありませんから」

翼さんのしっかりとした物言いに、あたしは聞き惚れた。

年下のあたしが言うのもなんだけど、こんなにしっかりしてる人だとは思わなかった。

周囲の人たちへの気遣いもできてて、優しい。

ホント、CM通りのイメージだ。

あたしの中で翼さんの好感度はグングン上がっていった。

「…翼はこう言ってますが、本当に心当たりはないんです」

杉田さんは小さくかぶりを振った。

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