月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
「あくまでも内密にお願いします」

「約束します」

あたしはふーん、と感心した目で達郎兄ちゃんを見た。

「どうした、カホ」

「いや、達郎兄ちゃんでも常識ある大人の会話ができるんだなー、と思って…」

あたしはつい、本音を言ってしまった。

「ぶっ飛ばすぞお前」

冗談とも本気ともつかない言葉が返ってくる。

「ご、ごめんなさい!」

『普段が普段だからつい…』と続けたくなるのを必死にこらえる。

その時、うつむいていたはずの翼さんが、突然ふき出した。

「す、すみません…!」

翼さんは必死に謝るが、笑いは止まらない。

あたしと湯月くん、杉田さんは、そんな翼さんを茫然と見つめた。

ただ一人、達郎兄ちゃんだけは、いつもの表情だった。

…てか、翼さんが笑い出したのって、絶対あたしたちのせいだよね。

「本当にすいませんでした」

翼さんの笑いが、ようやく収まった。

「お二人のやり取りが面白くてつい…」

あー、やっぱり。

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