月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
見ると、いつも物憂げなその瞳に光が宿っているように見えた。

あたしにはその光が、すべての謎を見通さんとする輝きに思えた。

「あのボールを何とかしないと!」

やおら達郎兄ちゃんが叫んだ。

「カホ、そのボールをフィールドに向かって投げつけろ!」

そう言ってあたしの持ってるボールを指差す。

あたしは訳がわからず困惑した。

「早くしろ!翼さんにPKを蹴らしちゃいけない!」

フィールド上では、翼さんが今まさにPKを蹴るため、走り出さんとしていた。

あたしは咄嗟に動いた。

訳はわからないけど、達郎兄ちゃんの推理はよく当たる。

信じるのが正解だ。

あたしは抱えていたボール放した。

地面に落ちる寸前、ボレーシュートの様な形で思い切り蹴る。

正直、フィールド内にボールが飛んで、プレーが止まればと思っていた。

ところがボールはまっすぐ飛び、翼さんが蹴ろうとしたボールに、見事に命中してしまった。

そして次の瞬間。

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