今宵の月は美しい【完】
ジョニーはそんな私を気味悪そうに眺め、「悪イモノ食ッタノカ?」、と言った。

「帰れ!」

通常運転で私は返した。

だってビールも煙草も、パクりすぎでしょ?

ジョニーは帰って行ったが、お土産にもう一本スルリと冷蔵庫から抜いて行ったのを、私は見逃さなかった。


中鉢は、まだ帰ってこない。

ママの彼氏…いや、ママの旦那が家にいるようになってから、私は平日でも関係なく、お化け屋敷に来るようになっていた。

吹田さんは外に飲みに行ってくれる日は別に良いんだけど、お金がなくなると家で飲んでいて、とっても危険。

飲み始めたら中鉢のうちに来て良いって言葉に、しっかり甘えさせて頂いています。

夜出かけても、ママは何も言わない。

吹田さんは、「遊んでるなら、夜のバイト紹介してやろうか」と恐ろしい事を言っていた。

何故に私まで、あなたに貢がなくてはならないのか。

嫌です、嫌。

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