今宵の月は美しい【完】
パタと万年床の枕に顔を埋めたら、騒いだ気持ちが少し落ち着いた。

私が落ち込んでると心配しちゃうから、楽しい事考えなくちゃー…

まぁ、ここに来てる時点で、中鉢にはボロボロだってわかるんだろうけどね。

こんなこと、いつまで続くんだろう。

ママが結婚しちゃったから、たぶんずっとだよね。


梨沙に『ホント良かったね!お幸せに』、とメールの返事を書いていたら、やっと中鉢が帰ってきた。

「おっかえり!」

「うん、ただいま」

笑ってるけど、一瞬心配そうな顔したよな、今。

また来たのかと思ってるに違いない。

もうホントすみません。

「トン汁作って見たんですけど、食べます?」

「食べる。
腹減ってるから助かるよ、ありがと」

いえ、ご飯くらい作ります。ご迷惑おかけしてるし。

< 101 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop