今宵の月は美しい【完】

※scene11『ずっと言えなかった』



これは、もしかして…?

こんなに毎日とか、貧血じゃないんじゃない。

こうやって学校のトイレに駆け込むのも、何回目だ?

水道で口を濯ぎながら、思いついてしまった事態に、私は再び目眩がした。

元々生理は不順ではありますが、こんなに来ないことないよ。

子供出来たー!?

「う…っ」

悪阻なんじゃないですか、これ。

もう吐くものもない。
午前中の授業が、もうすぐ終わってしまう。

こんなところ、誰かにみつかったらヤバイ!!


戸川ちゃんは知ってるから、保健室は不味い。

帰れそうにもないから、隠れられそうな所と言うと…。



ここしか知りませんでした。

這うようにたどり着いた音楽準備室の鍵を内側からかけ、私は携帯を強く握りしめた。

< 117 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop