私だけの王子さま


「随分と嬉しそうだね……?」


黙ったままというのは感じが悪いと思い、運転中のアキラに声をかけてみた。

すると、鼻唄まじりに運転をしていたアキラが、チラっとこっちを見て言う。


「当たり前だろ?もうすぐ自慢の彼女をお披露目できるんだからさっ!!」


その顔は、まるで出掛ける前の小さな子どものように、期待に満ち溢れているようだった。


「へぇ、私のこと、自慢なんだ?
ちなみに、どこが自慢なの?」


こんなこと聞いたって、もちろん返ってくる答えは分かっている。


でも、彼氏ができる度に同じようなことをいつも聞いてしまうんだ。
どうしてなのかは、分からないけれど。


「どこって、そんなん顔に決まってるじゃん。
あとその色気たっぷりの身体。それ以外に何があんの?」


聞いた後、いつも後悔する。


私の表情が変わったことにも気付かないで、アキラはそのまま話を続けた。


「俺さぁ、今まで付き合って来た女はみんな、ダチに紹介することにしてんの」


「……ふーん、そうなんだ?」

外を眺めながら、適当に返事を返す。


「でもさぁ、みーんな失敗ばっかなんだよなぁ……」


……失敗って、何が言いたいんだろ。
今回は、アキラの話の先が読めなかった。




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