私だけの王子さま



「お前はただ、俺の隣にいるだけでいいから」


アキラはあっけらかんとそれだけ言った後、車のエンジンをかけた。



待ち合わせは19時。
駅前の居酒屋で飲み会をするということになっているらしい。


ちなみに、現在時計の針は17時ちょうどを指している。
時間には、まだ余裕がある。


学校の帰りの私は、制服を着たままだった。
当然、このままでは居酒屋には入れない。


そこで、着替えるために、一度家に寄ってもらうことにした。


さっきのため息は、私の憂うつな気持ちの現れだったのだと思う。


そんな私の気持ちになど気づくこともなく、アキラは機嫌良さそうに運転をしていた。





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