私だけの王子さま
「本多さん、私…。
舞さんの夢、
叶えますからっ…!!」
私は、大きく息を吸って、一気に言葉を発した。
あまりの迫力に、本多さんも、隣にいた花梨さんも、ギョッとした表情を浮かべている。
「…この前、本多さんにお願いされた時は、まだ…自信がなかったんです。
私、つい最近まで、人の気持ちなんて考えずに生きてきたから…。
私なんかじゃ無理だって、舞さんとは、全然違うって、そう思っていました」
私は、じっと本多さんを見据えた。
本多さんも、黙ったまま私の次の言葉を待っている。
窓から差し込む太陽の光が、テーブルに置いてある折り紙に当たり、綺麗な色を浮かび上がらせていた。
「…でも、気付いたんです。このままではダメだって。
変わらなきゃいけないって。
だから、本多さん。
見ていてもらえませんか?」
私は、そこまで言うと、近くにあった椅子に座り、本多さんに顔の高さを合わせた。
夏祭りの日に本多さんがしてくれたように、両手で本多さんの手を握る。
「見ていて下さい。
私が、舞さんの夢を叶えるのを…。
自分の力で、
前に進んでいく姿を」