私だけの王子さま
第7章 過去と現在

花火の後



「あの、すみません!
私と同い年くらいで、黒髪の男の子、見ませんでしたか?
身長は167cmくらいなんですけど…」


あれから、約1時間。


適当に走っていたら、客もまばらの小さなスーパーに辿り着いた。


今、そこの店員に話かけているところだ。



「…さぁ?それだけじゃちょっと分からないなぁ」


困ったように、首を傾げる店員。


「そう…ですか。
ありがとうございました」


私は、軽く頭を下げると、そのまま店を出た。



これで5人目…。


この辺りの地図が頭にない私は、なかなか委員長を見つけることが出来ないでいた。


今、自分がどのあたりにいるのかも分からない。

携帯にも電話をかけたけれど、つながらなかった。


本当に、どこへ行ってしまったのだろう?



途方に暮れながら、あるマンションの駐車場を通り過ぎた時だった。




ドォン…!


横から、耳を塞ぎたくなるほどの大きな音が聞こえてきた。


何事かと思い、その方向を見ると、


ドォン…!


再び聞こえた爆音。


夜空には、色とりどりの花火が広がっていた。



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