私だけの王子さま



そこへ、タイミングを見計らったかのように、委員長が自動ドアの所に現れた。


「あ!噂をすれば…」


花梨さんも、それに気付いたらしく、委員長に目を向けた。



ウィーン…


自動ドアが開き、委員長が中へ入って来る。


だけど、何か表情が固いのは、気のせいだろうか?



「雪也くん、おはよう」


花梨さんが声を掛けると、委員長はこちらに視線を向けた。


「おはようございます…。花梨さ……あっ…」


最後まで言い終わらないうちに、私に気付いたようだ。


お互いの視線が絡まると、私も、委員長も咄嗟に目を反らす。


勢いのあった昨日とは違い、今日はお互い冷静だったため、何だか照れ臭かった。


ゆっくりと、こちらへ向かって来る委員長。


そんなに離れていたわけではないのに、すごく長く感じた。



「相原、おはよ…」


「あ…うん、おはよう」


ぎこちない挨拶を交わす。


花梨さんは、そんな私たちを不思議そうな顔をして眺めていた。



すると―――





「相原!


昨日は、ごめんっ!!」





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