私だけの王子さま
「行っちゃった…」
花梨さんが、哀しそうな瞳を浮かべながら、ポツリと呟いた。
私も、委員長も…
花梨さんの視線の先を、ただぼんやりと見つめていた。
それは、一瞬で消えていく流れ星のような出来事。
3日前までは、ホームの二階にいて、
私を温かく迎えてくれて…
私を見守ってくれていた本多さんが、
今は、もういない。
私が何も知らないうちに、突然いなくなってしまった。
何が起こったのだろう?
どうして、何も言ってくれなかったのだろう…?
そして、
何故、気が付かなかったのだろう?
私の目に、じんわりと涙が込み上げる。
そんな私を見ていたかのように、曇っていた空も、泣き出していた。