私だけの王子さま



プルルルル……
プルルルル……


握りしめていた携帯が、突然震えだした。


もしかして……。

‘委員長かもしれない’


そう思った私は、ガバッとベッドから起き上がり、ドキドキしながら携帯の画面を開く。


そこには……。


【着信 麻智】


そう、表示されていた。


「なんだ……麻智か……」

麻智には申し訳ないけど、思いっきり肩を落としてしまう。


依然として、鳴り響く着信音。


「もしもし……?」

“もしもーし!柚季?”

「うん」

“どした?なんか元気ないよー?”


麻智は相変わらずハイテンションだった。
時々、悩みがないのではないかと思うくらいだ。


「ううん。そんなことないよ!
ただちょっと眠かっただけ」


麻智にはすぐにバレるような下手な嘘でごまかす。

「ふーん……?」

案の定、怪しむような声が耳に届いた。





< 49 / 220 >

この作品をシェア

pagetop