私だけの王子さま



それからしばらく間が空いて、何か言われるのではないかとヒヤヒヤした。

だけど麻智は自分の用事の方が優先だったらしく、すぐに次の話題に入った。


“ねねっ柚季!明日なんだけどさぁ〜。
例の公園の近くで、私の好きなバンドのストリートライブがあるの。一緒に行かない?”


大のバンド好きの麻智。

そう言えば、前にも一度、売れ始めたばかりのバンドのライブに誘われて行ったことがある。

でも話を聞く限り、どうやら今回は別のバンドらしい。


「うん、いいよ」

音楽自体にそれほど興味は持っている訳じゃなかったけど、家にいても特にやることがなかったのですぐに了承した。


“本当に!?良かったぁ!
じゃ、明日11時頃に迎えに行くね!”


麻智はそれだけ言うと、すんなり電話を切った。




――例の公園。

それは、あの日委員長に会った公園のことだった。

麻智の電話で、気が紛れるどころか余計に思い出してしまう。


「はぁーー……」

持っていた携帯をポンっとベッドに放り投げると、私はまたひとつ、深いため息をこぼした。





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