私だけの王子さま



舞さんと学さんが、私と委員長に似ている?


それって、どういうこと―――?



本多さんは、委員長の方を向いて言った。


「…雪也くんは、何回も聞いているかもしれないけれど、

あなたに初めて会った時…、真剣に話し相手になってくれて…すごく嬉しかったのよ。

学くんが戻って来てくれたみたいで…」


委員長は、そんな本多さんを見ながら、フッと柔らかな笑みを見せた。



今の本多さんの言葉。


すごく、納得できる。



委員長は、いつもちゃんと話を聞いてくれる。


それがどんな内容であっても、真剣に耳を傾けて、一緒に向き合ってくれるんだ。


学さんに似ているって、きっとそういう所だと思う。



だけど、私は?


私は、どうして舞さんに似ているの?



だって、


小さい頃からの純粋な気持ちを持ち続けていた舞さんと、


それを捨てて、過ごして来た私とでは、



全然、違うじゃない…。





「柚季ちゃん…」


本多さんが、私の名前を呼ぶ。


黙ったまま顔を上げると、本多さんはとても優しい瞳をしていた。





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