私だけの王子さま



その後、簡単な反省会に出席し、帰る頃には10時を回っていた。


委員長と待ち合わせしたのが朝の7時だから、かれこれ半日以上一緒にいたことになる。


これまで、学校での委員長しか知らなかった私にとって、ボランティアをしている時の委員長の姿はとても新鮮だった。



きっと、私だけしか知らない委員長の姿。



そう思うだけで、嬉しい気持ちになれる。



だけど。



今、委員長の目に私はどう映っているのだろう?



公園で泣いていたあの時と比べたら、少しは変わって来た?



少しは…



人の気持ちを考えられるようになって来たのかな…?



自分ではそうしているつもりでも、花梨さんや他の職員さんを見ていると、まだまだ甘いと痛感する。



私は職員と話をしている委員長を見ながら、そんなことを考えていた。






「相原、帰ろう。もう遅いから、送ってくよ」


話を終えた委員長が私の所へやって来た。



今までの彼氏だったら、断っていた‘送る’という言葉。



でも、委員長だから…


大好きな委員長だから…。



「うん、ありがとう!」


もっと一緒にいたい。


素直にそう思えるんだ。





< 90 / 220 >

この作品をシェア

pagetop