緑の風がそよぐとき
「彬兄が結婚して家を出ていくって、前からわかってたことなんだよね。だからわたしもちゃんとお兄ちゃんっ子を卒業しないとね」
そう、自分で口にして再確認。
彬兄の結婚は前からわかってたこと。
「真琴、無理すんな」
「無理って……」
「そんな顔して、俺の前まで無理して笑顔作んなって」
わたし、今どんな顔をしてるんだろう。
無理な笑顔?
「でも、無理しないといれないの!彬兄に心配かけたくないから」
身体が一瞬ふわっと浮いた。
わたしは気付いたら倫太郎の腕の中にいた。
驚いてもがこうとするけど、倫太郎がそれを許さない。
「真琴。真琴がどれだけ彬兄を好きかってわかってるよ。お前が彬兄を見るように、俺はお前を見てきたから」
どれだけって、わたしの気持ちどこまで知ってるの?
「倫太郎、何言って」
「全部。全部知ってる」
わたしの言葉は倫太郎の言葉で遮られる。
「全部って……」
「全部だよ!お前が彬兄を兄以上の気持ちで思ってること」
「倫太郎っ!」
わたしは思いっきり力を込めて倫太郎を突き放した。