通りすがりの恋模様<極短>
「ねぇみと。よ、び、だ、し!!来てるよ」
そう友人に言われてドアを見れば僅かに頬を赤くした男子が一人。
漏れそうになるため息を飲み込み友人に礼を言って席をたった。
「頑張れ~」
なんて呑気な声はあたしに向けたのかはたまたあたしに放課後デートのお誘いにきたこの男子にかは分からない。
断りを入れるあたしにごり押しする男子。自棄になってるんじゃねぇかと思うほど顔は真っ赤で、周りの冷やかしもあり、あたしは放課後デートへの参加を余儀なくされた。
外に出て話ながら歩く。
特にすることもなく駅前をブラブラと二人で歩いていた。
するとモジモジしてた男子があたしの手を握ってきた。
勘弁…
「ちょっと、離してよ」
「もう、諦めるから」
そう言ってギュッと手を握られる。
NOと言える日本人になりたいもんだ。
前を向いて今度こそ飲み込まず吐いたため息は直ぐにまたあたしの体内へ戻っていった。
「うそ…」
いつもより遥かに近い位置。
黒の中に泳ぐ金。
隣には
フワフワ茶色。