君と歩く未来
夏姫はその写真を手に取った。写真の中の二人は笑っていた。こんな柊の笑顔見たことがない。
「夏姫?」
柊に名前を呼ばれ、夏姫は後ろを振り返った。柊は夏姫が写真を持っていることに気付いた。
「この子、もしかして未来ちゃん?」
夏姫は訊いた。
「うん」
柊は答えた。
「どんな子なの?未来ちゃんって」
「素直で純粋な心を持った子」
柊は言った。未来ちゃんのことを話している柊はなんだか違う感じに見えた。夏姫は写真に写っている未来ちゃんを見た。素直で純粋な心を持った子。柊の隣りで幸せそうに微笑む未来ちゃん。
「夏姫?」
「この写真いいね。二人とも最高の笑顔で幸せそう」
夏姫は言った。
「私見たことないよ。こんな柊の笑顔」
夏姫は、柊を見て微笑んだ。夏姫は、写真を机に戻した。見ているのが辛かった。
「私、帰るね」
夏姫はそうゆうと、鞄を手に持った。
「えっ?もう帰んの?もうちょっと居ればいいのに」
柊は言った。
「柊は何も分かってないよ。私の気持ちも自分の気持ちも全然分かってない」
夏姫は叫んだ。夏姫は部屋から出ようとした。
「待てよ」
柊に腕を掴まれた。夏姫の目から涙が溢れてきた。
「離して」
夏姫は言った。
「俺、なんかした?どうしたんだよ」
柊は、夏姫の手を離した。
「柊は気付いてないんだよ。自分の気持ちに」
「えっ・・・」
「柊にとって、未来ちゃんは本当にただの幼なじみ?」
「何言ってんだよ」
柊は動揺していた。



柊は分かりやすいね



< 29 / 105 >

この作品をシェア

pagetop