Monsoon Town
「ん、そうか」

社長室の中から声が聞こえた。

「仕事中かしら?」

そっと、少しだけドアを開けると覗いて見た。

「いや、夕飯はいらないよ。

一緒に出かけるんだから」

社長室のソファーに座って、陣内は電話をしていた。

仕事ではないらしい…けれども、一体誰に電話をしているのだろうか?

「旅行に出かけるんだったら必要なものはあった方がいいだろ?

カバンは俺が貸すけれど」

「旅行…?」

陣内の口から聞きなれない単語が飛び出してきた。
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