Monsoon Town
「陣内龍平、俺の名前だ。

お前の名前は?」

陣内が聞いた瞬間、少女は目を伏せた。

「――わからない…」

少しの沈黙の後、小さな声で少女が答えた。

「わからないって、自分の名前だろ?

どうして…」

「陣内、待って」

北川が陣内を制すと、
「本当に、わからないの?」
と、少女に聞いた。

「何にもわからないんです。

わたし、一体どうしてここに…?」

少女は両手で頭を抱えると、目をそらすようにうつむいた。

「落ち着いて、大丈夫だから」

混乱し始めた少女に、北川は彼女の頭をなでた。

頭をなでられた少女は落ち着いたように、動きを止めた。
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