空っぽのfifteen
明美とは、そのチョイの間時代から母親と付き合いがあるオバサン。
歳はいくらか母親より若い感じで、独身である。

かつては結婚もしてたそうだが、チョイの間時代に繰り返し堕胎をしたせいで子供が授からず、離婚されたのだと言う。

明美はバカだけど、利口だ。
誰も望まない子供を産むことはしなかったからだ。

女として子供を産むことが一番の幸せかなんて、この歳にもなってまだ初潮すら迎えていないアタシには分からない。

だけど、アタシと同じ境遇の子供が増えなかったことは幸せだと思う。

別に不幸だとは思っちゃいないけどね。

明美は子供を産むことができない。

だからアタシを娘のように可愛がってくれた。
ただ、世の中の『娘』というものが、母親にとってどんな存在なのかは分からないが。

だって、オトコどころかオンナにもなれていないアタシに、普通そんなダークな話をするものだろうか?

話の内容はさておき、それでも明美はよくしてくれた。

アタシの母親は、物心ついたときには、殆ど顔を会わせることがなかった。

パトロンとかいう資金援助者の存在によって、小さいながらも一軒の呑み屋を営んでいた。



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