空っぽのfifteen
『オ前ナンテ産マナケレバ良カッタ』


アタシの顔を見る度に、母親が吐き捨てる言葉。

そんなこと言われたって、アタシも困る。
勝手に産んだのは貴女。

母親はアタシの父親になる【ハズ】だった男のことは一切クチにしたことがない。

お節介な明美が教えてくれた。


『戻ってくる筈もない客を待っていた』

と。

今でこそ、衛生管理だなんだとしっかりしているソープランド。

だけど15年も前の片田舎の温泉街では、男が通りすがるように女と交わった【チョイの間】というもので、一軒家の一室で客を取ったという。

そんなどうでもいいようなことの説明まで、15のアタシに明美はしてくれた。
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